小泉純一郎総裁(首相)の任期満了に伴う自民党総裁選が8日告示され安倍晋三官房長官(51)=森派、谷垣禎一財務相(61)=谷垣派、麻生太郎外相(65)=河野派の3氏が立候補を届け出る。20日に投開票される。党内の幅広い支持を得た安倍氏の優位は揺るぎない情勢で、谷垣氏と麻生両氏がこれを追う展開。小泉首相の靖国神社参拝で冷え込んだ中国、韓国などアジア外交の立て直しや消費税率引き上げ、所得・地域間格差の是正や憲法改正の進め方などが争点となる。
党総裁選管理委員会は8日午前11時から党本部で立候補を受け付け、3陣営が届け出る。党所属国会議員票403票と都道府県連に割り振られた300票の計703票で争う。地方票は党員からの得票に応じ、各都道府県の持ち票に従いドント方式で配分される。任期は3年。
安倍氏は憲法改正と教育改革を最重要課題に掲げる。経済成長・歳出削減優先の小泉改革の継承を唱える一方、格差是正を念頭に置いた再チャレンジ政策なども訴える。森派をはじめ派閥横断で国会議員票の約8割を固め、地方票も優勢。どこまで圧勝できるかも焦点だ。
谷垣氏は首相就任の場合も靖国神社に参拝しない考えを示し、2010年代半ばまでに消費税率を少なくとも10%に上げ、社会保障財源とするよう主張する。小泉路線と一線を画し、批判票の受け皿となることを狙う。
01年に次ぐ挑戦となる麻生氏は経済活性化、少子高齢化対策、教育改革などを掲げる。
安倍、麻生両氏は消費税の引き上げ率明示に反対し、首相の靖国神社参拝問題は争点にすべきでないと主張するなど、政策的には足並みをそろえている。
新総裁の20日選出を受け臨時国会は26日に召集される。衆参両院本会議の首相指名選挙で新首相が誕生、同日中に新内閣が発足する。【宮下正己】
毎日新聞 2006年9月8日