【ユジノサハリンスク杉尾直哉】北海道根室市の漁船「第31吉進丸」の銃撃・拿捕(だほ)事件で、露連邦保安庁サハリン国境警備局は29日、北方領土・国後島古釜布(ふるかまっぷ)に拘束中の乗組員3人のうち、川村昭充さん(29)と紙屋春樹さん(25)を30日中に日本側に引き渡す予定だと日本側に通告した。
タス通信によると、ロシア側は、乗組員2人を「30日正午(日本時間午前10時)、国後島南部沖のロシア領海上で日本の巡視艇に移送する」と指定している。国後島周辺の海域が悪天候によって荒れた場合は「31日に延期になる」という。
一方、国境侵犯・密漁の容疑がかけられている坂下登船長(59)について、サハリン州検察当局は30日にも起訴する方針を固めた模様だ。関係筋が29日、明らかにした。天候次第では31日以降にずれる可能性もある。初公判は起訴から1週間後の9月上旬で、当日に判決も言い渡される見通し。
ロシア当局はこれまで「起訴は(9月)7日までに行われる」としていたが、坂下船長が調べに対し全面的に容疑を認めているため、前倒しを決めた模様だ。
毎日新聞 2006年8月29日