初公判を迎えた堀江貴文被告の自宅とライブドア本社のある六本木ヒルズ(東京都港区)。ここで働く人たちや付近の住民は、今年1月の強制捜査から約8カ月を経た4日、「ヒルズ族」の象徴だった堀江前社長を「過去の人」などと突き放す。その一方で、前取締役の宮内亮治被告ら側近たちが起訴事実を認める中で、堀江前社長が法廷でどう反論するかに関心を寄せていた。
ヒルズ内のIT企業に勤める男性(25)は「ライブドアショックからずいぶん時間がたち、関心はなくなった」と話す。ただ「事件で自分の規範意識は高まった」といい、堀江前社長が否認の構えを見せていることには「罪の意識がなかったということではないか」と批判した。
一方、近所に住む銀行員の男性(25)は「かつての部下が罪を認めて圧倒的に不利な状況で、何を話し、主張していくか興味がある」と堀江前社長の発言や今後の裁判の展開に関心を示した。
「部下たちが指示を認めているのは重い。どこまで頑張るのだろうか」と言うのは、犬の散歩で近くを通りかかった出版社役員の男性(59)。続けて「もう一度何か事業をやろうとしても、以前のように有名にはなれないだろう」と冷ややかに話していた。
また、ライブドアの平松庚三社長は4日朝、報道陣に「世間や将来のため、すべてを明らかにしてほしい」と堀江前社長に注文。今後の裁判については「見守りたい」と語った。
ヒルズ周辺には、初公判に臨む堀江前社長を取材しようと、早朝から30人以上の報道陣が詰めかけ、上空ではヘリコプターが旋回した。【苅田伸宏】
毎日新聞 2006年9月4日