東京都内の司法書士が成年後見契約などを結んだ女性(77)から高額報酬の返還を求められている問題で、司法書士は女性以外にも都内の4人と契約を結んでいたことが分かった。女性のケースと同様、毎月の定額報酬のほか、代理人業務を行うたびに日当を加算し、所属する「成年後見センター・リーガルサポート」からやめるよう指導されていた。
関係者によると、他の4人はいずれも財産管理などの委任契約で、01~02年に締結された。継続中は1件だけで、2件は委任者が死亡し、1件は委任とトラブルになり契約が解除された。4件中2件で報酬総額が年間100万円を超えた。
成年後見は判断力が衰えた高齢者らの財産を守るための制度で、リーガルサポートはその担い手として設立された。組織として契約状況を把握するため、定款で3カ月ごとの報告を定めている。またトラブル防止のため、委任契約を結ぶ際は他の会員を監督人に付け、公正証書で契約するよう推奨している。しかし、司法書士は1件を除いて監督人を付けず、私文書で契約し、報告書もほとんど出さなかった。
このため、リーガルサポートは昨年11月から、司法書士の契約方法や内容について調査を開始。再三、司法書士に報告書の提出や日当加算などの改善を求めたが、応じていない。司法書士は取材に「(会員が別の会員を監督する)リーガルの考え方には疑問があり、信頼関係が崩れたからだ」と釈明した。
司法書士は05年5月までリーガルサポート東京支部の副支部長を務め、指導的立場にあった。成年後見制度を紹介する本も出版し、その中では「公正証書の作成が好ましい」「監督人はできれば選任」と記していた。【成年後見取材班】
毎日新聞 2006年9月14日