自動車のF1シリーズ今季最終戦、ブラジル・グランプリ(GP)は22日、サンパウロで71周(1周4.309キロ)の決勝を行い、2位に入ったルノーのフェルナンド・アロンソ(スペイン)が総合得点134点で、2年連続2度目の年間総合王者の座に就いた。製造者部門でもルノーが2年連続優勝を決めた。
今季限りで引退、このレースが最後のGPとなったフェラーリのミヒャエル・シューマッハー(ドイツ)は、序盤でタイヤがパンクするアクシデントがあった中で4位まで追い上げたが、121点にとどまり年間王者を奪還できなかった。
フェラーリのフェリペ・マッサ(ブラジル)が1時間31分53秒751で優勝し、今季2勝目、通算2勝目。スーパーアグリ・ホンダは佐藤琢磨が今季自己最高の10位、山本左近は16位だった。
ホンダはジェンソン・バトン(英国)が3位、トヨタは2台とも序盤でリタイアした。(共同)
▽佐藤琢磨 シーズンをいい形で終えられて最高。前の車に追いつけるという楽しさがあった。気持ちよく走れた。(共同)
◇新時代到来を宣言…アロンソ
いつもの「攻め」を封印し、守りの走りで総合2連覇を果たした。アロンソは2位でゴールしてピットに戻ってくるとマシンを降りるなり、空いっぱいに響き渡る雄たけびを上げた。
王者獲得の条件は8位以内。安全策を公言していたがライバルのM・シューマッハーにタイヤトラブルが発生したことで、さらに確実に走行。トップを行くマッサを無理に追わずに走り終えた。
速さを求めるレーサーの本能を抑え、歓喜の瞬間へ。「(王者争いの)勝利に疑いはなかった。2度目の王者になったことは一生、忘れない」と感慨無量の様子だった。
今季7勝をマーク。総合トップの座を譲ったのは1戦だけ。立ち上がりの強さと、巧みなコーナリングで新旧王者対決を制し「きょうでM・シューマッハーの時代は終わり」と自身が主役の新時代到来を宣言した。
来季からはマクラーレン・メルセデスに移籍。開幕前に移籍を公表したことに疑問の声もあったが、フルに実力を発揮し、ルノーに製造者部門タイトルをもたらした。
レース中は冷静、レース後は奔放。25歳の最強ドライバーは「ルノーでいい終わり方ができて良かった。新しい挑戦が楽しみ」と晴れ晴れとした表情で今季の戦いを終えた。(共同)
毎日新聞 2006年10月23日