皐月賞TR「第44回弥生賞」が4日、中山競馬場で行われ、1番人気に支持されたアドマイヤオーラが1月のシンザン記念に続いて重賞V2。皐月賞(4月15日、中山)の主役に名乗りを上げた。騎乗した武豊(37=フリー)は05年ディープインパクト、06年アドマイヤムーンに続き同レース3連覇。2着ココナッツパンチ、3着ドリームジャーニーまでが皐月賞の優先出走権を獲得した。
今年も終わってみればこの男だ。これまで4勝2着4回の“弥生賞男”武豊がアドマイヤオーラをきっちりVへと導いた。「きょうは意識的に早めに早めに乗っていこうと思った」と話すように、スタートから向正面は5番手集団で折り合いをつけた。3~4角で徐々に押し上げ、直線で馬場の中央に持ち出した時には、行く手を阻むものはいなかった。坂の途中で先頭に立つと、ココナッツパンチの猛追をしのいでゴール。着差は首差でも手応えにはまだ余裕があった。
「キャリアの浅い馬だし、いろいろ試そうと思ってね。次を考えて思い描いていた通りのレースができた」と武豊。皐月賞と同じコース、距離で本番へ向けて理想的な試走となった。だが、課題も残った。「最後に1頭になるとフラフラ走っていた」と振り返るように、先頭に立つと大きく外側にヨレて、外から来たココナッツパンチと接触した。「前走(シンザン記念1着)で騎乗した岩田君からは内にササると聞いていたから注意していたら、きょうは外へ行った。ターフビジョンを気にして物見をした。ステッキを左(外側)に持ち替えて対応したけど…迷惑を掛けてしまった」と鞍上は神妙な面持ち。松田博師が「1頭になると寂しがるところがある」と評する気性の幼さが、最後の最後で出てしまった。
それでも武豊は「一戦ごとに成長しているし、まだ良くなる余地がある」と本番への手応えを口にする。皐月賞までは1カ月以上ある。成長期の若駒なら弱点を克服するのに十分な期間だ。「きょうがいい経験になった。胸を張って向かいたい」と力強く締めくくった。
松田博師は昨年もアドマイヤムーンでこのレースを制しているが皐月賞4着。オーラの兄アドマイヤジャパンでも皐月賞3着、菊花賞2着とクラシックタイトルを惜しくも逃している。「今年は勝ちたいからな」と力が入る。また1つオーラの特徴をつかんだ武豊が、4戦無敗のフサイチホウオーを倒すためどんな手綱さばきを見せるか今から楽しみだ。
≪大魔神夫妻も祝福≫昨年に続く弥生賞Vの近藤利一オーナーは「2年連続で勝てたのはうれしい」と満足げ。ただ、首差の辛勝に「もっと楽に勝たないと…。ユタカ(武豊)は寝不足やったんか?」と厳しい指摘も。昨年はアドマイヤ軍団がG1未勝利に終わっており「今年は勝ちたい」と意欲満々。口取りには親交のある“大魔神”佐々木主浩氏夫妻も駆けつけてオーラの勝利を祝った。
▼アドマイヤオーラ 父アグネスタキオン 母ビワハイジ(母の父カーリアン)牡3歳 栗東・松田博厩舎所属 馬主・近藤利一氏 生産者・北海道安平町ノーザンファーム 戦績4戦3勝 総収得賞金1億891万1000円 主な勝ち鞍はシンザン記念、弥生賞。
スポーツニッポン 2007年3月5日