◇あごや歯、ネズミに似た形
兵庫県立人と自然の博物館(同県三田市)は12日、同県篠山市の「篠山層群下部層」(1億4000万~1億3600万年前)とされる白亜紀前期の地層から、哺乳(ほにゅう)類としては日本最古級のあごや歯の化石3点が見つかったと発表した。体長十数センチの、ネズミに似た形だったとみられ、人類を含む現存哺乳類の祖先に近い国内最古の化石という。同館の三枝春生主任研究員は「現生哺乳類への進化の過程解明にかかわる貴重な発見」としている。
発見された化石のうち、二つに割れていた右下のあごの骨をつなげると約2・5センチの長さになり、犬歯や大小の臼歯など計8本の歯も付いていた。臼歯の形などから、現存する哺乳類に進化する直前の「トリボテリウム類」か、それに近い仲間らしく、あごの形から新種とみられる。世界的にも白亜紀前期の哺乳類化石の発見は55例しかない。国内でも、97年に石川県白山市で見つかるなど2例あるが、現存の哺乳類にはつながりがないという。
篠山層群は、兵庫県篠山、丹波両市に広がる地層で、06年8月には丹波市内で国内最大の草食恐竜「丹波竜」の化石が見つかっている。今回の化石も丹波竜発見者の一人で、元高校教諭の足立洌(きよし)さん(64)=丹波市=が一部を発見、同館が掘り出した。【粟飯原浩】
◇世界的にも貴重--冨田幸光・国立科学博物館地学研究部研究主幹(古哺乳類学)の話
現存の哺乳類につながる最も古いタイプで世界的にも貴重な発見。これ以外にも貴重な化石が見つかる可能性が高く、期待がもてる。