会社更生手続き中の日本航空は、東京地裁に更生計画案を提出しました。ただ、再建に必要な新たな融資について金融機関からいまだ合意を得られず、再建は厳しい状況が続いています。
「更生計画案が提出されました。私はこれがJAL再建のスタートだと思っています」(日本航空・稲盛和夫会長)
日航は31日、東京地裁に更生計画案を提出し、稲盛会長ら経営陣と管財人が内容を説明しました。今年1月に経営破たんの会見を開いたのと同じ会場です。
「最後のチャンスをいただきました」(日本航空・西松遥前社長〔今年1月〕)
経営破たん以降、日航は管財人の企業再生支援機構とともに更生計画を練ってきました。当初は、6月末の提出を目指していましたが・・・
「提出が若干遅れる可能性はあります」(企業再生支援機構・瀬戸英雄氏〔今年4月〕)
リストラ策や債権放棄の額などを巡って金融機関と対立。予定を2か月遅らせ、ようやく提出にこぎつけた計画案は、金融機関などに5200億円の債権放棄を要請することや、今年度中におよそ1万6000人を削減し、国内・国際線合わせて45路線を廃止するといったリストラが柱となっています。
さらに、企業再生支援機構が3500億円の出資を実行。2011年3月期に641億円の営業黒字を計上し、2012年末までに再上場を目指すことも盛り込まれています。
ところが専門家は、この計画案に盛り込まれた数字は、前提となる条件が甘いと指摘します。
「国内も格安航空会社参入する。国際線についても厳しい競争が予想されます。再上場は5年以上かかるのでは・・・」(新生証券・松本康宏氏)
さらに、日航の再建にはもう1つの大きなハードルが待ち構えています。
「リファイナンスを含め、この計画が着実に実施されるように」(前原誠司国交相)
リファイナンス=経営再建に必要な新たな融資です。およそ3200億円に上る新たな融資は、いまだ金融機関からの合意を得られず、計画案に盛り込むことは見送られました。
「融資得られないことは、基本的に更生計画が実現不可能になるということですから」(新生証券・松本康宏氏)
さらに財務省も、「リファイナンスについて具体的な目途のない更生計画は実現可能性が低く、二次破綻のおそれが高まる」という厳しい見方を示しています。
「絵に描いた餅にならないよう、必死でこの事業計画を推進していこうと思っております」(日本航空・稲盛和夫会長)
金融機関側は、日航が収益や搭乗率などの目標を達成しない限り新たな融資には応じない姿勢で、日航の再建は厳しい状況が続いています。(31日17:29)