日銀の岩田規久男副総裁は4日、仙台市で開いた金融経済懇談会で講演した。岩田副総裁は昨年10月に追加金融緩和を実施した理由について「日銀も民間も消費増税が消費に与える影響がこれほど大きいとは予想できなかった」と説明した。また、民間のインフレ期待が安定している他の先進国と比べて「日本の予想インフレ率は足元の物価に左右されやすい」とも指摘し、急激な原油安が期待インフレ率を下げる可能性についても考慮したとした。
ただ、このところの一層の原油価格下落に伴う物価上昇の鈍化については「物価の基調的な動きは昨年10月時点の見通しから変化はない」と強調。「物価は2015年度を中心とする期間に2%程度に達する可能性が高い」と従来の見通しを維持した。
物価上昇率を考慮した賃金の動きを示す実質賃金が低下しているとの批判があることについて、消費増税による物価上昇の影響は分けて考えるべきだと指摘。「消費税引き上げによる実質賃金引き下げ効果を除くと、一般労働者の実質賃金もパート労働者の実質時給も前年と比べて大きく落ち込んではいない」と述べた。また、雇用市場の需給引き締まりで名目賃金に上昇圧力がかかることなどから「最終的には実質賃金は上昇に転じる」と述べた。〔日経QUICKニュース(NQN)〕