【北京=島田学、ワシントン=吉野直也】中国の習近平国家主席は11日、オバマ米大統領と電話し、米国への国賓訪問の招請を受け入れ、9月に訪米する考えを表明した。中国の国営新華社が伝えた。オバマ氏と会談するほか、国連創設70周年の記念行事にも出席する。習氏就任後の訪米は2013年6月以来、2回目。両氏は米中間のサイバー問題を巡る対立をできるだけ早く解消する方針を確認した。
中国の習近平主席
両氏はグローバルな安全保障問題で緊密に連携していくことで一致した。中東の過激派「イスラム国」などの問題で国際情勢が不安定化するなか、米中協調をアピールする狙いもありそうだ。
米ホワイトハウスによると、オバマ氏は米欧など6カ国とイランの核問題を巡る協議での協力を中国側に要請した。米側は3月中に最終合意の骨格となる原則をまとめられなければ、6月末までの「交渉の延長はない」との立場だ。歴史的な合意の実現へ中国にイランへの働きかけを求めたものだ。
昨年11月の北京での米中首脳会談でまとめた温暖化ガス削減目標の実現と、16年末にパリで開く国連気候変動会合の成功への関与も求めた。
米中関係では、オバマ氏がサイバー攻撃を巡る対立の解消を要求した。中国側が一方的に中止したままの、米中戦略・経済対話の下に設置したサイバー作業部会の早期再開を求めたとみられる。経済分野では消費主導型の成長や、市場に基づく人民元相場への移行を重ねて促した。
国営新華社によると、習氏は「戦略的な対話を継続していきたい」と応じ、貿易やエネルギー、環境問題での関係強化に意欲を示した。ハイテク製品の対中輸出の規制や中国企業の対米投資を緩和するよう求めた。「互いの核心的利益や重大な関心を尊重すべきだ」とも主張し、台湾問題やチベット問題に干渉しないよう要求した。
北朝鮮情勢や、世界の反ファシズム戦争勝利70年でも意見交換した。
両氏は14年11月にアジア太平洋経済協力会議(APEC)に合わせて北京で会談した。現在、米国のブリンケン国務副長官とラッセル国務次官補が北京を訪問しており、中国側高官と習氏訪米などで協議していた。
6日には、ライス米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)が習氏や安倍晋三首相に訪米を招請したとしていた。