【ワシントン=川合智之】米政府は18日、ホワイトハウスで31カ国・地域や国際機関の代表とテロ対策の閣僚級会合を開き、過激派への外国人戦闘員の流入を防ぐため情報を共有することで合意した。過激派「イスラム国」には約100カ国から2万人超が流入したとされる。渡航者情報の共有などでテロ組織の拡大を防ぐ。オバマ大統領は同日演説し、イスラム国について「完全に打ち負かす」と改めて決意を表明した。
情報共有の参加国は英国やフランス、ドイツ、デンマーク、オーストラリア、ロシア、トルコ、ヨルダンなどで、国連や国際刑事警察機構(ICPO)とも協力する。航空乗客名簿に加え、国境警備やテロ対策の手法も共有する。
イスラム国に合流するためシリアに渡った2万人超には、最低でも3400人の欧米人が含まれるとされる。過激思想に感化され、母国でテロを起こす危険性も高まっている。閣僚級会合に参加したケリー米国務長官は「戦闘員の帰国を見逃さないよう協力したい」と述べた。
過激派がソーシャルメディアを通じて若者らを勧誘し、参加を呼びかける例も目立つ。米はアラブ首長国連邦(UAE)と協力し、地域社会や宗教指導者と連携してイスラム国の宣伝活動に対抗する取り組みを始める。
オバマ米大統領は18日の演説でイスラム国や国際テロ組織アルカイダについて「宗教指導者ではなくテロリストだ」と断定。過激派が「聖戦士」と自称して若者らを勧誘していることを批判し「教育を受けていない若者は陰謀説や過激思想に染まりやすい」とし、教育や貧困防止の取り組みが必要だとの考えを表明した。