政府は20日、スポーツ行政を一元的に担う「スポーツ庁」の設置法案を閣議決定した。通常国会に法案を提出し、文部科学省の外局として今年10月の発足を目指す。スポーツ庁は、2020年東京五輪・パラリンピックに向けた選手強化、スポーツを通じた国際貢献に取り組む。初代の長官は元アスリートを含む民間人からの起用を検討している。
また、政府は五輪の開催準備に当たる専任の五輪担当相を新設するため、閣僚を1人増員して19人にする特別措置法案も決めた。同担当相は現在、下村博文文科相が兼務しているが、今後準備作業が本格化することを踏まえて専任にする。
下村文科相は20日の閣議後の記者会見で「今までばらばらな感のあったスポーツ関連施策を一本化し、スポーツ立国に向け加速させたい」と強調。長官人事について「スポーツに精通し、ガバナンス能力のある方を慎重に選びたい」と述べた。
文科省の外局として発足するスポーツ庁は、同省の「スポーツ・青少年局」を母体に、運動施設を整備する国土交通省や、健康増進事業を進める厚生労働省の関連部署などを統合し、120人規模になる見通しだ。
長官の下に次長と審議官を配置。選手強化の拠点整備を担う競技力向上課や、指導者の海外派遣を支援するスポーツ国際課など5課を置き、有識者が政策方針を議論するスポーツ審議会も設ける。
一方、専任となる五輪担当相は治安・テロ対策、交通網整備など大会開催に関する課題の総合調整を図る。
政府は当初、今年4月のスポーツ庁設置を目指していたが、省庁間の調整が遅れ、昨秋の臨時国会での法案提出を見送った。五輪担当相を置く特措法案は臨時国会で衆院を通過したが、衆院解散で成立に至らなかった。