和歌山県紀の川市で市立名手小5年、森田都史君(11)が殺害された事件は子供たちが下校後の夕方に起きた。この時間帯は大人は仕事や家事で忙しく、地域に監視の目が届きにくいとされる。こうした中、住民は屋外作業や犬の散歩などの際に暗がりでも目立ちやすい蛍光色ベストを着る「見守り」に乗り出した。
男児が自宅そばの空き地で刃物のようなもので襲われたのは5日午後4時15分ごろ。帰宅後、遊んでいたとみられ、目撃者はいないとされる。
警察庁が2013年1月~14年11月に、13歳未満の子が被害に遭った略取・誘拐事件194件を分析したところ、午後4~6時が44件と最多で、発生場所は道路上が66件と一番多かった。
午後4~6時の時間帯について法政大の越智啓太教授(犯罪心理学)は「子供が外での遊びや習い事で一人になりやすい。下校した後の見守りは重要だ」と指摘する。
同小では、保護者らが登下校時は街頭に立っていたが、下校後は仕事や家事で忙しく、見守りはできずにいた。
事件後、同小などは蛍光色ベスト200着を購入。保護者に配ったほか、PTA会長は午後4~6時に比較的、地域にいることが多い農家や高齢者らにも渡した。短時間でも着用してもらいたい考えだ。
「普段の生活の中で不審者の監視ができれば、子供は安心して外で遊べる」と同会長。越智教授は「住民の負担が大きければ見守りは長続きしない。無理のない範囲で継続することが重要だ」と話した。〔共同〕