国家公務員の年金資産を運用する国家公務員共済組合連合会は25日、資産構成の目安を見直して、国内株式の比率を8%から25%と3倍に増やすと発表した。国内債券は74%から35%に下げる。同日から適用した。会社員の厚生年金との一元化を10月に控え、130兆円の公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)と同じ資産構成にする。
国共済は中央官庁の公務員や日本郵政の社員ら約100万人が加入しており、運用資産額は7.6兆円(2014年3月末)。
新しい目安では国内債券を半減する一方で、国内株と海外資産を増やす。海外債券の目安は2%から15%に、海外株式は8%から25%に引き上げる。大幅な見直しになることから、実際の国内債券の比率は目安から上下30%まで離れてもよいことにする。
新しい目安に到達する期限は示していない。国共済を所管する財務省は「市場の動きを見ながら売り買いを進める」(給与共済課)としており、債券価格や株価、為替をにらんで売買する。
厚生年金などの130兆円の積立金を運用するGPIFは昨年10月、国内外の株式比率を倍増する新しい目安を発表した。厚生労働省から指示された「賃金上昇率プラス1.7%」という高い利回り目標を達成するには、利率が低迷する国債中心の運用では難しいと判断したためだ。
国家公務員の年金運用は引き続き国共済が行う。ただGPIFと同じ利回り目標を課されることになるため、資産構成の目安も合わせる必要があると判断した。
地方公務員の年金を運用する地方公務員共済組合連合会(運用資産18.9兆円)と私立学校の教職員の日本私立学校振興・共済事業団(同3.8兆円)も、GPIFとほぼ同じ目安の導入を近く発表する見通しだ。いずれも今の目安に比べると、国内債券を大幅に減らし、国内株式や海外資産を増やすことになる。
計30兆円の共済年金の投資先の見直しは金融市場にも大きな影響を与えそうだ。ゴールドマン・サックス証券の試算では、3共済がGPIFと同じ目安を導入すれば、5.1兆円の国内株式の買い増しが生まれる。「定期的に日本株の買いが発生し、実需の面から株価を下支えする」(西川昌宏金融商品開発部長)。試算では海外資産も8.8兆円の買い増しとなり、円安の要因となる。
国内債券は満期償還を含めて13.8兆円分減ることになる。ただ日銀が国債を大量購入する金融緩和を続けており、債券市場への影響は限られそうだ。