自民、公明両党は27日午前の安全保障法制協議会で、自衛隊が経済制裁対象国の商船の積み荷などを検査する船舶検査活動法について協議した。政府・自民党は朝鮮半島など日本周辺の有事をさす「周辺事態」が起きたときにだけ認めている活動を、それ以外にも広げる法改正を提案した。邦人救出のための自衛隊派遣は、閣議決定を前提とすることも示した。
船舶検査活動法は周辺事態の際、自衛隊が船長の承諾を得たうえで乗船して検査をしたり、航路の変更を求めたりできることを定める。国連安全保障理事会の決議か、商船が船籍登録している国(旗国)の同意を得ることが条件だ。
政府は周辺事態に至らなくても「国際社会の平和と安定」を目的とした船舶検査もできるようにする法改正案を提案。国連決議なしで活動できるようにする考えも示した。自民党は乗船を拒む不審船に備え、船長の同意がなくても検査できるようにする案を提示したが、公明党は隊員の安全確保などを理由に慎重姿勢を示した。
自衛隊による在外邦人の救出を巡っては政府が(1)派遣先の領域国が支配する範囲内(2)領域国の同意がある――などを盛りこんだ自衛隊法改正案を提示した。派遣の条件として、閣議決定の形で首相が承認することを義務付ける方針。武装勢力と交戦するリスクがあるため、防衛相と外相の協議だけですむ邦人輸送よりも厳しい基準にする。
自衛隊が他国軍の後方支援をする前提となる物品役務相互提供協定(ACSA)に関し、政府は相手国と協定を結ぶたびに自衛隊法を改正しなくてすむよう手続きを簡単にする考えを説明。公明は「国会軽視だ」と慎重姿勢を示した。