川崎市で殺害された上村遼太君は事件前、友人に身の危険を訴えていた。しかし、学校側は把握しておらず、事件を防ぐことはできなかった。文部科学省や川崎市教育委員会は再発防止に向け、事件の経緯の検証などを始めた。
川崎市教委によると、上村君は今年1月から不登校が続いていた。中学校は何度も家庭訪問や電話連絡をしていたが、面会することができず、市教委や警察などと連携した対応もできなかった。
事件を受け、文科省は27日、対策会議を開催。全国の小中高校などを対象に、7日間以上連続で学校を休み、学校側が連絡を取れない児童生徒や、非行グループとの関わりが疑われ、身体に被害が生じる恐れのある児童生徒などを調査することを決めた。各地の教育委員会などに対し、3月9日までに報告するよう求めており、調査結果は早ければ同月11日に公表する。
川崎市教委は27日夜に開いた臨時会議で、原因究明と再発防止策を話し合う検証委員会を近く立ち上げることを決めた。渡辺直美教育長は「なぜ事件が起きたのか、徹底した検証が欠かせない」と話した。
文科省はこれまで、子供の非行防止に取り組むよう各教委にたびたび通知してきた。各地の小中学校は警察OBらを招いた教室を開くなどしているが、重大な事件は後を絶たない。
学校で非行防止に向けた講演会などを行っている公益社団法人「埼玉犯罪被害者援助センター」(さいたま市)の高橋和子さんは「被害者側の計り知れない苦しみや悲しみを子供たちに伝え、命の大切さに気付かせることが重要だ」と話している。