東京大はメダカのオスが“恋の三角関係”を制して自分の子孫を残すのに役立っているホルモンを突き止めた。実験でホルモンが働かないオスを作ると、他のオスとの間でのメスの争奪に勝てなくなった。人にも似たホルモンがあり「恋愛における嫉妬心や執着心に関わっているかもしれない」と研究チームはみている。
成果は27日、米科学誌プロス・ジェネティクスに掲載された。哺乳類では特定のホルモンがペアの絆を強めていることがネズミの研究から分かっている。東大の竹内秀明助教と大学院生の横井佐織さんらは、このホルモンと似ているメダカのホルモン「バソトシン」に着目。求愛行動などでどのような役割を果たしているのか調べた。
実験でメダカのオス2匹とメス1匹を同じ水槽に入れたところ、1匹のオスがメスとライバルのオスの間に割り込み、けん制する行動を示した。割り込みで勝ったオスの方が子孫も残しやすかった。
次に、バソトシンが働かないメダカを作って同様の実験をすると、割り込みに負けやすくなった。ライバルへの対抗心はあるが、メスへの関心が低下しており「付き合っている女性への愛情が薄れ、別の男性と仲良くしても諦めてしまうのに似た状態」(横井さん)という。研究チームはこうした結果から、バソトシンが三角関係を制するのに必要だと結論づけた。