【ニューヨーク=稲井創一】世界最大の民間石油会社、米エクソンモービルは4日、2015年の投資額を前年に比べて12%減の340億ドル(約4兆円)にすると発表した。原油安を踏まえ、上流にあたる開発部門の投資を抑制する。原油や天然ガスなどを合わせた15年の生産量は2%増にとどまる見通しだ。
16~17年にかけて投資額を毎年平均で340億ドル以下とする方針も表明した。14年の投資計画では15~17年にかけて370億ドル以下としていたが、供給過剰の原油の需給環境に対応して投資金額を下方修正した。
ただ、原油・ガスの生産量は17年にオイル換算で日量430万バレルに引き上げる(14年実績は400万バレル)計画は変更しない。15年には西アフリカの深海油田など複数の開発案件が本格稼働し始める。17年までに16の開発案件が立ち上がる見通しで、採算が見込める案件は推進する。
エクソンは3日、80億ドルを起債した。40年までに世界のエネルギー需要は35%拡大するとみて、中長期的な成長に備えて開発投資やM&A(合併・買収)などにも積極的に取り組む。足元は原油安で逆風が吹くが、強固な財務基盤で「攻め」の投資機会を逃さない方針だ。