【NQNニューヨーク=岩切清司】5日のニューヨーク外国為替市場で円相場は3日ぶりに反落した。前日比45銭円安・ドル高の1ドル=120円10~20銭で終えた。欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が量的金融緩和策(QE)を通じてマイナス金利の国債も買い取る姿勢を示した。ユーロ安・ドル高が進み、対円にもドル買いが及んだ。
ECBはこの日の理事会後に既に導入を決めていたQEの詳細を公表した。ドラギ総裁は記者会見で、中銀預金金利であるマイナス0.2%より低い国債は購入しないとの方針も示した。市場では「利回りがマイナスであっても預金金利を上回る水準の国債であれば購入対象となることにはやや驚きがあった」(CMCマーケッツ)との声があった。
外為市場でユーロに対しドルが買われると、対円でもドル買いに弾みがついた。円は一時120円40銭まで下げ、2月12日以来ほぼ3週ぶりの円安・ドル高水準を付けた。
この日の円の高値は119円95銭だった。
円は対ユーロで小幅ながら3日続伸した。前日比15銭円高・ユーロ安の1ユーロ=132円40~50銭で取引を終えた。ユーロが対ドルで売られた流れが波及したものの、値幅は限られた。
ユーロは対ドルで6日続落した。終値は前日比0.0045ドル安い1ユーロ=1.1030~40ドルだった。ECBのドラギ総裁の会見を受けてユーロは一時1.0988ドルまで下げ、2003年9月5日以来およそ11年半ぶりのユーロ安・ドル高水準を付けた。
一方で、ECB理事会の結果発表直後にはユーロが買われる場面もあった。ECBが15年の域内総生産(GDP)見通しを上方修正したため、ユーロを買い戻す動きが広がったという。ユーロは一時1.1115ドルまで上昇した。