静岡空港の交通アクセスが改善する。6~7月にもJR藤枝駅と空港を結ぶバスが運行を開始する。今月29日からは、空港から静岡駅に行くバスが航空機の遅延に対応できるようになる。1日に浜松市街地との間で運行を始めた乗り合いタクシーは順調な滑り出しとなっている。県などは利便性を高めることで空港利用者を増やすとともに、観光客の呼び込みを狙う。
JR藤枝駅発着の空港直行バスは藤枝市が運行する。4月に中部運輸局に申請し「早ければ6~7月の運行を目指したい」という。市が所有するバスを活用し、運行は委託する。便数は検討中だが、1日当たり7~8便程度を想定。所要時間は35分程度となる。
バスの発着地点となる藤枝駅南口ではホテルなどが入る複合商業施設が建設されるなど、中心市街地の再開発が進んでいる。藤枝市はバスの運行で観光客を市街地に呼び込むため、旅行会社に売り込む。
アクセスバスがすでに運行しているJR島田駅路線の乗客数を参考に利用者数などを試算した。年間7000人が利用すると、経済波及効果は年間1億4000万円に上るという。市は15~16年度を試験運行とし、便数などの改善点を探る。
JR静岡駅と空港を結ぶバスは、県の委託を受けて民間が運行している。現在は時刻表通りに運行するため、航空機が遅れて到着した場合に対応できなかった。3月29日からは、最大で次のバスの出発時刻まで空港で待機する。
これまで県は航空機が遅延して静岡線に乗れなかった場合は島田線のバス利用を促していた。静岡線が遅延に対応するのに伴い、島田線は現在の1日42便から同23便に減らす。
浜松市街地と空港を結ぶ乗り合いタクシーは民間による運行で、県が補助を出している。1日の運行開始から5日までに46人が利用し、約200人の予約が入っているという。県西部で利用が多い中部国際空港に対抗するため、料金は片道1人1500円に抑えている。
県は乗り合いタクシーで、年間5000人の利用を見込んでいる。月間では約400人の利用が必要な計算だが、「始まったばかりとしては手応えがあり、目標を達成できそうな感触はある」(文化・観光部)という。
県は6日に学識者や交通関係者で組織した会議で交通アクセスの改善状況を報告した。委員からは「就航先を含めて、周知を図る必要がある」との指摘が相次いだ。