日銀は11日、白井さゆり審議委員が3月上旬に欧州に出張した際の講演内容を公表した。同氏は4日にブリューゲル、6日に欧州中央銀行(ECB)、10日に英中銀のイングランド銀行で講演した。
2014年10月31日に決めた追加の金融緩和について「所得から支出へと経済が好循環するメカニズムを確実にするための決断であった」と述べた。その上で物価上昇率は低下を続けているものの「国内需要は緩やかな回復基調にある」との認識を示した。
日銀の2014年度の経済見通しが下方修正されたことについては、円相場の下落による「輸出量の浮揚効果は当初予想したほど表れず、国内需要の減少を相殺しなかった」ことなどを理由に挙げた。潜在成長率については「趨勢的に低下している」と述べた。半面、「金融緩和がなければ、現状ほどの企業収益と雇用・名目所得の改善は実現せず、成長率は一段と下振れていた」とした。
2%の物価安定目標の実現のためには「将来の収入期待が高まることが不可欠」と強調した。〔日経QUICKニュース(NQN)〕