【ワシントン=芦塚智子】クリントン前米国務長官は10日、在任中に私用メールアドレスを公務に使っていた問題で「全ての規則を完全に順守した」と述べ、違法性はなかったと主張した。2016年の大統領選への出馬の決断に影響するかについては「米国民が独自の判断をすると信頼している」と述べるにとどめた。
10日、ニューヨークの国連本部で記者団の質問に答えるクリントン前米国務長官=共同
ニューヨークの国連本部で会議に出席した後、記者会見を開いた。クリントン氏は、在任当時は私用アドレスの使用が許可されていたと指摘した。私用アドレスを使ったのは「便利だったから」などと釈明したうえで、「振り返ってみると、(公務には)別のアドレスを使った方がよかった」と認めた。
昨年、国務省の要請で全メールを再び精査し、公務に関わる可能性があるメールを全て提出したと説明した。国務省に公務のメールを全て公開するよう「前例のない措置を取った」とも語り、透明性を強調した。
自宅を住所とする独自のメールサーバーを使用していたことには、夫のクリントン元大統領のために設置したサーバーで厳重な安全対策が取られているとした。機密情報を含むメールを送ったことはないとも語った。
クリントン氏の事務所によると、在任中の送受信メールは6万2320通あり、うち公務関連と判断した3万490通を国務省に提出した。他国政府との通信はメールを使っておらず、英国の政府当局者との1通だけが含まれていたという。
野党・共和党全国委員会のプリバス委員長は、クリントン氏の記者会見について「『利便性』のために国家の安全保障を危険にさらしたことを謝罪すべきだった」と批判する声明を発表した。「全ての公務メールを提出したかは、クリントン氏以外誰も分からない」と問題を追及し続ける構えを示した。