【ワシントン=川合智之】米国務省のサキ報道官は10日の記者会見で、野党・共和党の上院議員47人がイラン指導部に書簡を送ったことについて「米国の国家安全保障にとって有害だ」と指摘した。イランと目指す合意は議会承認が必要な条約ではなく、多国間の政治的合意になると説明し、議会との協議は不要との考えを強調した。
サキ氏は、米国はこれまでも国際安全保障にかかわる政策について「拘束力のない協定のもとで取り組んできた」と指摘した。具体例として米国とロシアによるシリアでの化学兵器廃棄の合意や、原子力技術・機器を輸出管理する原子力供給国グループ(NSG)の輸出管理指針などを挙げた。
共和党議員は核問題を巡る米欧など6カ国とイランの協議を巡り、米議会の承認がなければ次期政権で破棄する可能性があると書簡で警告した。サキ氏は共和の書簡送付について「この種の展開は交渉合意の取り組みには助けとならない」と批判。外交政策は大統領の専権事項だとの認識を改めて示した。