W杯最終戦で優勝した伊藤有希(右)と2位の高梨沙羅=林敏行撮影
ノルディックスキーのワールドカップ(W杯)はオスロで12日、ジャンプ女子の今季最終第19戦(HS134メートル)があり、すでに2季連続4度目の個人総合優勝を決めている高梨沙羅(クラレ)は251・0点の2位で、男子のグレゴア・シュリーレンツァウアー(オーストリア)と53勝で並んでいたW杯男女歴代最多勝利記録の更新は来季以降に持ち越しとなった。伊藤有希(土屋ホーム)が258・7点で今季5勝目を挙げ、個人総合で自己最高の2位に入った。マーレン・ルンビー(ノルウェー)が3位。勢藤優花(北海道メディカルスポーツ専門学校)は10位、岩渕香里(北野建設)は12位だった。
高梨沙羅、W杯最多勝利おあずけ 「波あったシーズン」
伊藤は1回目に最長不倒の130メートルを飛んで首位に立ち、2回目に124・5メートルで逃げ切った。高梨は1回目に127メートルで3位につけ、2回目は126メートルだったが、伊藤に及ばなかった。
ジャンプ男子の個人第22戦(HS134メートル)は伊東大貴(雪印メグミルク)が127・5メートル、124・5メートルの243・5点で今季日本勢最高の4位に入った。シュテファン・クラフト(オーストリア)が今季5勝目を挙げた。
距離の女子30キロクラシカルはマリット・ビョルゲン(ノルウェー)が優勝し、石田正子(JR北海道)は17位だった。
11日のジャンプ男子団体第4戦(HS134メートル)は、小林陵侑(土屋ホーム)、竹内択(北野建設)、葛西紀明(土屋ホーム)、伊東大貴(雪印メグミルク)で臨んだ日本が合計889・8点で5位だった。オーストリアが合計999・7点で優勝した。
■一気に頭角現した伊藤
1回目で最長不倒の130メートルを飛んだ伊藤。2回目は124・5メートルと距離を伸ばせなかったが、思わず右拳を握った。「勝ったかな、と思った」
1月にW杯で初めて勝ち、この日はすり鉢のように観客席に囲まれた独特のジャンプ台で5勝目を挙げた。「歴史のある台で、好きな台。初優勝と同じくらいうれしい」と喜んだ。
シーズン後半の好調の理由は、伊藤自身がよくわかっている。「(2月の)世界選手権にピークを合わせられたから」。W杯総合2位は自己最高順位だ。
「54勝目をめざした高梨選手とは(勝利数の)桁が違う。(彼女は)1年を通じて高いレベルをキープしている」。そう謙遜したが、高梨のライバルとして一気に頭角を現した。