国立がん研究センターは11日までに、全国からがん患者を集めて遺伝子を診断する疾患の対象を広げると発表した。これまでの肺と大腸に加え、胃や食道、小腸など消化器系がんも対象にする。約200の医療施設や国内外の製薬企業十数社と共同で進める。2017年までに4500人分のデータを集め、患者の体質に応じて治療を選ぶ個別化治療につなげる。
がんセンターが進めるのは「スクラムジャパン」と呼ぶプロジェクト。13年から肺がん、14年から大腸がんの患者を対象に、遺伝子の診断を始めていた。
診断では米医療機器メーカーが開発し、米国立がんセンターが採用した新しい検査薬を使う。1回の診断で140個以上の遺伝子変異が分かり、検査の効率化が進む。国内では承認されていないため、今回のプロジェクトを通じてデータを蓄積。20年をメドに承認につなげたい考えだ。
がんセンター早期・探索臨床研究センターの大津敦センター長は「今後すべてのがんに枠組みを広げ、通常の診断で結果が生かせるようにしたい」としている。