1972年ミュンヘン五輪で活躍した当時17歳のオルガ・コルブト(ソ連)。「ミュンヘンの恋人」「小さな名花」などと呼ばれ、ミュンヘン五輪の人気者だった
1972年ミュンヘン五輪の女子体操で、三つの金メダルを獲得した「ミュンヘンの恋人」が、生きていくために、メダルとレオタードを売り払った――。ロイター通信などが28日、伝えた。
彼女の名はオルガ・コルブト(61)。ベラルーシ出身で、旧ソ連代表として17歳で出場したミュンヘン五輪では団体、平均台、ゆかの3種目を制した。続く76年モントリオール五輪でも、団体金メダルに輝き、平均台では「白い妖精」と呼ばれたナディア・コマネチ(ルーマニア)に次ぐ銀メダルだった。
91年に米アリゾナ州に移り住み、体操を教えていたという彼女だったが、このほど数々の五輪メダルや自身が着用したレオタードなど32点をオンラインオークションに出品。33万5千ドル(約3765万円)を受け取ったという。なかでも最高値がついたのは、モントリオール五輪の団体金メダルで、6万6千ドル(約742万円)だった。
コルブト自身はメダルやレオタードなどの、思い出の品々を売った理由を語っていないが、ロシアのインターネットニュースサイト、Gazeta.ruは、彼女が経済的に生活苦に陥っていたと報じ、「メダルがコルブトを飢えから救った」と見出しでうたった。(原田亜紀夫)