国際的な防災戦略を話し合う第3回国連防災世界会議が14日午前、仙台市で開幕した。安倍晋三首相は全体会合の演説で、途上国を中心に防災インフラ整備や約4万人の専門家育成に向け、2018年までの4年間で計40億ドル(約4900億円)の資金支援を表明。多くの災害を経験した「防災先進国」として技術やノウハウを提供する姿勢を打ち出した。
同会議にはタイのプラユット暫定首相やカンボジアのフン・セン首相、国連の潘基文(バン・キムン)事務総長が出席予定。首脳・閣僚や国際機関代表のほか、各国政府や自治体関係者らを含めれば190カ国程度から4万人以上が参加する。
最終日の18日に今後の国際的な防災指針をまとめた「仙台宣言」を採択する。今後の災害による死者や被災者などをどこまで抑えるかといった数値目標も定める方向で調整中だ。
14日午前に開いた開会式には天皇、皇后両陛下が出席された。その後の全体会合で、安倍首相は「仙台防災協力イニシアチブ」を発表した。(1)人材育成や制度の整備などソフト面の支援(2)質の高いインフラ整備を中心とするハード面での支援(3)グローバルな協力と広域協力の推進――で構成。洪水対策や災害予測の情報インフラ整備、防災関連法令の整備など具体的な支援策を示した。
首相は「災害の被害者の9割が途上国に集中する」と指摘し、あらゆる開発政策に防災の観点を導入する必要性を強調。東日本大震災の経験を踏まえ、自治体や民間企業との連携強化に言及した。「長期的な視点に立ってさらなる防災投資に取り組む」と述べ、事前の備えの重要性も訴えた。
国連防災世界会議は1994年に横浜市で第1回会議を開催。第2回は阪神大震災から10年の2005年に神戸市で開かれた。今回は東日本大震災で大きな被害を受けた仙台市が、被災の実態や震災後4年間の復興状況を世界に発信するために招致した。