東洋ゴム工業(大阪市)の子会社が製造・販売した免震装置のゴムが性能基準に適合していない問題で、長野市が11月の完成を目指して建設を進めている新庁舎に不適合の装置が90基使われていることが15日、市への取材で分かった。
長野市によると、13日に国土交通省から連絡があった。新庁舎は芸術館を併設した建物で、地下の1、2階に不適合の90基が設置されていた。国交省はこのうち83基の認定を取り消した。
市の新庁舎は地下2階、地上8階建てで、延べ床面積は約2万8千平方メートル。総事業費は約160億円。市長室や災害対策の部署も入る予定という。市は「設計者らと早急に建物の安全性を検証し、対応を考える」としている。
一方、愛媛県は15日、東洋ゴムの担当者が16日に県庁を訪れて経緯の説明をすると発表した。県は装置を県庁第1別館に使用している。
県によると、14日午後7時ごろ、同社から営業と技術の担当者が県庁を訪れて経緯の説明をしたいと電話で連絡があった。また、同社は別館に免震装置を設置する工事を設計した事務所に構造上の安全性を再計算してほしいと要請したという。
県の担当者は「問題の経緯や今後の対応についての詳細な説明と、安全性の再計算に必要な情報を迅速に提供するよう求めたい」としている。
また、大阪府枚方市で建設中の枚方寝屋川消防組合消防本部の新庁舎に製品が使用されていることも消防本部への取材で分かった。
同本部によると、鉄骨5階建ての新庁舎は今年5月に完成予定で、免震装置19基が既に設置されている。7月からの運用を予定しており、担当者は「交換で工期が延びれば業務に大きく影響する」と懸念している。〔共同〕