日本陸上界にとって久しぶりの世界記録樹立は、これまでの強化策が実を結んだ証しといえるだろう。お家芸のマラソンが世界の高速化についていけなくなったこの10年ほど、日本陸連が「世界と戦える種目」と位置づけて強化に力を入れてきたのが競歩だった。
同じ長距離という適性もあり、マラソンの指導者や練習ノウハウも導入された。競歩には歩型違反という独特のルールがあるが、強豪国で合宿を張り、国際審判を招いて反則を取られない歩型も追究してきた。
山崎勇喜が2008年北京五輪50キロで7位に入賞し、近年は世界選手権でも09年ベルリン大会から3大会連続で入賞者が出ている。昨年は鈴木と高橋英輝(岩手大)が男子20キロの世界ランキング1位、2位を独占。高橋は今年2月の日本選手権で鈴木を抑えて優勝と、国内の選手層も厚みを増している。
昨夏の南京ユース五輪の男子1万メートルでは、小野川稔(東京実高)が金メダルを獲得するなど次世代も育ちつつある。5年後の東京五輪に向けても弾みがつきそうだ。