自民、公明両党は18日、新たな安全保障法制の骨格で実質合意した。同日昼に国会内で開いた与党協議会で、座長の高村正彦自民党副総裁と座長代理の北側一雄公明党副代表が法整備の骨格案を示した。集団的自衛権の行使容認など自衛隊の活動を5分野で拡大する内容で、他国軍に後方支援しやすくする恒久法の整備も明記した。20日に正式に合意する見通しだ。
高村氏は協議会の後、記者団に「全体的な共通認識は与党協議の中である」と述べ、実質合意したことを明らかにした。安保法制整備の骨格案は(1)外国からの武力攻撃に至らない「グレーゾーン」への対処(2)他国軍への後方支援(3)人道復興支援など国際貢献(4)集団的自衛権の行使(5)邦人救出を含むその他の法改正――の5分野が柱だ。
他国軍への後方支援をできるようにするため新たに制定する恒久法をめぐり、自衛隊を派遣する場合の国会の関与については「事前承認を基本とする」との文言で合意した。緊急時は事後の承認を認めたい自民党と、例外なく事前承認を求める公明党の折衷案となり、今後引き続き調整する。
グレーゾーン対処では、自衛隊が日本と共同訓練中などの他国の艦船や航空機を守れるようにする。後方支援は、自衛隊による補給や輸送などの対象を、従来の米軍だけからオーストラリア軍など他国軍に広げる。朝鮮半島有事を想定していた周辺事態法は改正する。
人道復興支援に関しては、治安維持などの任務をできるようにし、国連平和維持活動(PKO)協力法を改正する。集団的自衛権の行使では「日本と密接な関係にある国が武力攻撃を受け、日本の存立も脅かされる」などの要件を満たせば自衛隊が防衛出動できるようにする。
海外で邦人が人質事件などに巻き込まれた場合、領域国の同意を得たうえで、自衛隊による救出作戦を可能にする。
与党は20日までに詰め切れない論点は4月の統一地方選の後に改めて協議する方針だ。たとえば後方支援の法整備で、政府が事実上の地理的な制約だった「周辺事態」という概念を見直す方針だが、新しい概念の定義などは決まっておらず、今後の調整課題として残る。与党による関連法案の細部の詰めを受け、政府は5月中旬の国会提出をめざす。