【テルアビブ=押野真也】17日に投開票されたイスラエルの総選挙で、ネタニヤフ首相が率いる右派政党「リクード」の第1党が確実になった。劣勢が伝えられていたが、組織力を生かして盛り返し、野党で中道・左派の統一会派「シオニスト・ユニオン」を上回った。今後、政権の獲得に向け、多数派工作が激化しそうだ。
選挙管理委員会の途中集計段階では、開票率は95%時点で、定数120議席のうち、リクードが29議席、シオニスト・ユニオンが24議席とリクードがリードしている。選管は公式な議席数を18日にも発表する見込みだ。最終的な投票率は71.8%で、2013年の前回選挙(66.6%)を上回った。
リクードの第1党が確実になったことで、同党党首のネタニヤフ首相は18日未明(日本時間同日午前)に支持者の前で「偉大な勝利がもたらされた」と勝利を宣言した。シオニスト・ユニオンを構成する労働党のヘルツォグ党首も勝利を宣言し、対決姿勢を示した。
双方とも獲得議席数が過半数に満たないため、政権を担うには連立政権を樹立する必要があり、双方とも他党と連立協議を始めたもようだ。ヘルツォグ党首は「(すでに)すべての政党の党首と会談した。(連立協議は)広く開かれている」と述べ、中小政党にも連立への参加を呼びかけた。
国家元首であるリブリン大統領は、議席数が確定した後、円滑に多数派を形成できると見込んだ政党や会派に対して組閣を要請するため、今後多数派工作が熱を帯びそうだ。
イスラエルの政治情勢に詳しい同国の元政府高官は日本経済新聞の取材に「右派政党の獲得議席数が多く、ネタニヤフ首相は右派を取り込む可能性が高い」と指摘。「現時点では(労働党の)ヘルツォグ党首よりもネタニヤフ首相の方が(組閣を担う)可能性が高い」と分析した。