大塚家具は27日開いた株主総会で、大塚久美子社長らを取締役とする議案を可決した。ただ、父である大塚勝久氏との委任状争奪戦で、主要な取引先や従業員の態度がふたつに割れた。久美子社長は店舗改革などを目指すが、従業員らとの融和をどう図るのかなど、重い課題を背負ったままだ。
今回の委任状争奪戦では、大半の店長らが早々と勝久氏側に賛同することを明らかにしていた。さらに、約3%の株式を持つ従業員持ち株会は、どちらにつくかスタンスを決めず自由投票にした。社長につくか会長につくか、社員は厳しい選択を迫られた。
取引先でも、約3%を持つフランスベッドホールディングスが総会直前に勝久氏につくことを公表した。長い取引のなかで「どちらを支持するか、最後まで悩んだ」(関係者)という。踏み絵のような委任状争奪戦に多くの取引先が苦しんだ。
久美子社長は株主総会後の記者会見で「全員が心をひとつにする」と強調。社内を束ね、株主や消費者の信頼回復に務めることを誓った。
会社側は筆頭株主である勝久氏との関係をどう修復するかも大きな課題だ。取締役は退いたが、2割近い大株主であることは変わらないからだ。株主提案などで勝久氏が一定の影響力を示し続ける可能性もある。会社側は安定した株主作りなどが課題となる。
総会では、委任状争奪戦を通して「ブランドイメージを壊した」などと厳しい指摘が相次いだ。国内の家具業界ではニトリやイケアが業績を伸ばしている。「内紛」による代償を早急にどう補うか、多難の再出発となる。