暴力団組長をめぐる虚偽診断書の作成容疑事件で、京都府警の家宅捜索を受けた京都府立医科大の吉川敏一学長が、同大学を運営する京都府公立大学法人の理事会に出席した際、組長と飲食店で少なくとも2回会食をし、警察官から組長を紹介されたなどと説明していたことが大学関係者への取材でわかった。
この関係者によると、府公立大学法人の理事らは16日の理事会で、14日に家宅捜索された今回の事件について吉川学長に説明を求めた。これに対し学長は、大学付属病院で2014年7月に腎移植手術を受けた山口組系暴力団組長の高山義友希(よしゆき)受刑者=刑務所収容=との関係について、少なくとも2回にわたり飲食店で会食したことがあると説明。いずれの場合も「行きつけの店でたまたま会った」とし、「警察官から紹介されたと思う」などと経緯を語ったという。
捜査関係者によると、高山受刑者は手術2カ月前の14年5月、京都市の繁華街・先斗(ぽんと)町のお茶屋で吉川学長と会食。50代の京都府警の元警部補が仲介役として同席したとの情報もある。吉川学長と高山受刑者は、ほかにも京都市の祇園や先斗町の店で繰り返し会食していたとみられている。受刑者の刑務所収容は困難とする意見書は、翌15年に付属病院から大阪高検に提出されていた。
吉川学長は今月上旬、朝日新聞記者が組長と会食をしたか質問したところ、「会うか、そんなもん」と否定していた。京都府警は、組長が会食などを通じて大学側との関係を深めた可能性があるとみて慎重に調べている。