長期金利が不安定さを増している。27日には新発10年物国債の利回りが一時0.080%高い0.405%に上昇し、今年最大の上昇幅を記録した。日銀が大量に国債を買い続けている結果、市場の取引が細っており、投資家の売りが出ると相場が崩れやすくなっている。
この日の主な国債の売り手は国内金融機関や外国人投資家だったとみられている。特段の材料が出たわけではないが、3月期末を前にした利益確定売りが中心だったようだ。
それでも金利上昇が急になったのは市場に参加する投資家が減っているためだ。通常は証券会社がいったん買い受けて、別の投資家に転売するが、金利水準が低く日銀以外に国債を買う投資家がほとんどいない。金利の変動が大きいと、転売するまでに損失を被るリスクも高いため、証券会社は売り注文を買い受ける余裕がなくなっている。
日銀は年80兆円のペースで国債を買い続けており、市場に流通する国債は着実に減っている。このため、市場では「金利の乱高下が続くことは避けられない」(銀行の運用幹部)との声が多数を占める。
長期金利は1月半ばまで低下傾向が続いたが、最近は乱高下しながら金利水準が切り上がっている。日銀は金利を押し下げる狙いで大量に国債を買っているが、その効果が出づらくなってきた。