京都府立医科大での虚偽診断書の作成容疑事件をめぐり、吉川敏一学長(69)は2日、体調不良を理由に3月末で退任する意向を表明した。指摘された暴力団組長との交際を否定して4月から3期目の任期に入る予定だったが、一転して辞退する。代理人弁護士が学長のコメントを発表した。
吉川学長は、同大学付属病院で腎移植手術を受け、腎臓病を理由に懲役刑の執行停止を受けた組長と、飲食店で2度会ったと認めていた。交際や診断書作成への影響は否定していたが、大学トップとしての責任や適格性が問われ、学内には解任の動きもあった。
吉川学長はコメントで、退任理由を「体調回復の見通しが立たず、将来に不安がある」と説明。組長との交際については改めて「潔白」と主張したうえで「4月以降の大学運営を新たな学長にお任せしたい」との意向を示した。
吉川学長は2011年に学長に就任。大学は2期6年が限度だった学長任期を昨年末、3期9年に変更していた。
一方、大学幹部らによる教育研究評議会は2日、学長を選ぶ学長選考会議に解任を求める発議を出す手続きを進めていたが、吉川学長の退任表明を受けて発議をやめることを決めた。