長野市の善光寺で本尊の分身仏「前立本尊」の御開帳が4月5日に始まるのを前に、シンボル「回向柱」の受け入れ式が29日にあり、牛に引かれるなどして奉納された。数えで7年に1度開かれる御開帳は今回、北陸新幹線の延伸開業直後で多くの人出が見込まれ、回向柱が初めて夜間ライトアップされる。御開帳は5月31日まで。
善光寺に到着した回向柱(29日、長野市)=共同
回向柱は高さ約10メートル。宝庫から本堂に移された前立本尊と綱で結ばれ、触ると前立本尊に触るのと同じ御利益があるとされる。期間中は連日、柱の前に長い列ができ、長時間待たなければならなかったため、夜間の参拝を促して混雑を和らげようとライトアップが決まった。
午後5時の法要以降は前立本尊を拝むことはできないが、午後9時まで発光ダイオード(LED)照明を使って回向柱と本堂の一部を照らす予定だ。寺事務局は「混雑からためらっていた人にも心安らかに参拝してもらい、御利益を受けてほしい」としている。
また、前回の2009年は過去最高の673万人が参拝に訪れたが、日帰り客の割合が増えた。今回はライトアップ目当てに夜に長野市に訪れる人が多くなることで宿泊客が増え、経済効果に好影響を与えることも期待されている。
回向柱は江戸時代に松代藩が本堂の再建に携わった縁で、長野市の松代地区の住人らが寄進するのが慣習。29日は約1200人が参加した奉納行列が市内を練り歩いて善光寺に向かい、沿道は見物客でにぎわった。
行列を見物した長野市の会社員、原千雪さん(35)は「いよいよ御開帳が始まるんだなという気になる。観光客には寺だけでなく、少し遠出して長野の自然も楽しんでもらいたい」と話していた。〔共同〕