東日本大震災で被災し、再建した宮城県石巻市のカキ処理場で、引きこもりや貧困から抜け出そうとする人たちが、就労訓練でカキの出荷作業に取り組んでいる。生産者も消費者も幸せになれるようにとの願いから「笑えるカキ」と名付けて販売、被災地の人々に支えられながら再起を目指している。
牡鹿半島の付け根に位置する折浜地区は4年前の津波で漁具や船が流される大きな被害を受けた。海辺のカキ処理場は屋根まで津波にのまれたが、復興支援に取り組む「共生地域創造財団」(仙台市)などの支援で2012年に再建された。
財団は13年から、生活が困窮している人を有給で雇い就労訓練をしている。2~4月の時期は折浜や隣の蛤浜のカキを漁師から買い取り、処理場の一角で殻についた藻くずなどを取り除いて洗浄し、全国に出荷する。訓練生は石巻市の若者支援団体「石巻NOTE」からの紹介で、今年は男女3人が作業している。
同市の男性(27)は20代前半のほとんどを自宅に引きこもって過ごしたが、約1年前に就職を決意し、訓練に参加した。細かな手仕事にはまだ慣れないが、全国の顧客とつながる仕事は「やりがいがあるし、就職に向けて少し自信もついた」。
地元漁師の平塚国義さん(39)は訓練生に殻を割らないように洗うこつをアドバイス。地域の高齢化や後継者問題を抱え「この中から漁師になる人が出てくれば」と期待を寄せている。
注文は4月13日までメール(info@from―east.org)で受け付けている。〔共同〕