【ニューヨーク=西邨紘子】30日の米国で医薬や保険関連企業のM&A(合併・買収)の発表が相次いだ。製薬会社との価格交渉力を高めるのを目的とした保険会社による買収や、有力な新薬候補を持つ企業を買収する動きが出た。投資マネーの市場への流入が続いていることが浮き彫りになったことで、同日のニューヨーク株式相場は大幅高となった。
米医療保険大手ユナイテッドヘルス・グループは30日、医薬品の価格交渉などを手掛ける米薬剤給付管理(PBM)事業大手のカタマランを約128億ドル(約1兆5360億円)で買収すると発表した。ユナイテッドが傘下に持つPBM事業と統合する。医薬品の高額化が進む中、買収による規模拡大で製薬会社に対する交渉力を高め、コスト軽減につなげる。
ユナイテッドはカタマラン1株当たり現金61.50ドルを支払う。2015年10~12月期中の手続き完了を見込む。カタマランとユナイテッド傘下事業の調剤件数は合計で15年に10億件を見込む。米業界では3位の規模という。
PBMは企業や保険会社などに代わり、製薬会社を相手に医薬品の価格交渉や販売契約を手掛ける。米国では効き目が高い新薬の実用化などに伴い高額な医薬品が増えており、仕入れ価格を巡るPBMと製薬会社の攻防が激しくなっている。PBM大手の米エクスプレス・スクリプツによると、14年の米処方薬支出額は前年比で約13%増加している。
30日の米国株式市場では、ダウ工業株30種平均が大幅に続伸した。前週末比263ドル65セント(1.5%)高い1万7976ドル31セントで取引を終えた。上昇幅はおよそ2カ月ぶりの大きさとなった。