米議会予算局(CBO)は13日、トランプ政権が優先課題とする「医療保険制度改革(オバマケア)」の廃止で無保険者が2018年に1400万人、26年までには2400万人、それぞれ増えるとの試算を発表した。トランプ氏は「すべての人に保険を提供する」と述べており、無保険になる人の不満が高まる可能性がある。
共和党がオバマケア代替案 トランプ氏「悪夢終える時」
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オバマケアの廃止を巡っては、下院で与党・共和党が提案した「アメリカン・ヘルスケア法案」の審議が進んでいる。
試算では、個人に保険加入を義務付けたオバマケアの規定が撤廃され、罰則を避けるために加入した人が大量に保険から抜ける。その結果、今後2年間で平均の保険料は15~20%上昇。政府の補助金が削られ、保険料を払えずに無保険になる人も増える。オバマケア導入前に5千万人とされた無保険者は、26年に2800万人に減ると推計していたが、新制度では逆に5200万人になるという。
ただ、保険業者への規制緩和などで、新制度の保険料は20年ごろからオバマケアを下回り、26年には1割ほど安くなる見通し。今後10年間で政府の財政赤字を3370億ドル(約38兆円)減らせるという。
共和党下院トップのライアン議長は声明で「我々の案は、高価で画一的な保険を強制するものではない。選択肢が増えればコストが下がる」などと述べた。(ワシントン=小林哲)