【カイロ=共同】過激派組織「イスラム国」(IS)は5日までに、イラク北部モスルの南西にある約2千年前に栄えた古代都市で、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産に登録されているハトラ遺跡を破壊したと主張する映像をインターネット上に公開した。
映像には、ISの戦闘員とみられる男たちがハンマーやつるはし、銃を使い石像などを破壊している様子が収められている。男の一人は遺跡破壊の理由を「アラー(神)の代わりに崇拝されているからだ」と話した。
ISはイスラム教が禁じる偶像崇拝につながるとして、イラク北部で歴史的遺跡や博物館の破壊を繰り返している。イラク政府は3月、ISがハトラ遺跡を破壊したと発表したが、被害の程度など詳細は明らかになっていない。
ハトラ遺跡はモスル南西約100キロの砂漠地帯に位置し、紀元前3世紀から紀元3世紀にかけてパルティア王国の交易都市として栄えた。城壁で囲まれた遺跡の中央に巨大な石柱が並ぶ神殿が残り、1980年代に世界遺産に登録された。