新潟大脳研究所のチームは8日までに、脳梗塞で詰まった血栓を溶かす薬剤「tPA」の効果を向上させ、副作用を抑える可能性がある治療法を開発したと発表した。
tPAの投与と同時にタンパク質「プログラニュリン」を注射する。ラットを使った実験では脳梗塞が小さく抑えられ、tPAの副作用である脳出血や脳のむくみが大幅に軽減された。
脳梗塞に有力な「tPA治療」を効果的に行うには、発症から4時間半以内に始めなければならない。このタンパク質と併用すれば、治療開始が遅れても、患者の状態が改善される可能性があるとしている。
プログラニュリンは認知症発症の抑制や傷の治癒などに関係するタンパク質で、人の体内でも作られる。
チームの下畑享良准教授(神経内科)は「近く臨床試験を開始し、安全性を確認したい」と話している。
ラット5~7匹ずつに人工的に脳梗塞を起こさせ、ラットとしては極めて遅い4時間後にtPA治療を開始した。同時に1匹300~370グラムの体重に対して0.1ミリグラムの量のプログラニュリンを注射したグループは、そうでないグループと比べ、脳梗塞の大きさやむくみが3分の1程度、出血量は10分の1近くまで抑えられた。〔共同〕