北海道大学の若尾宏准教授らは、全身に痛みが続く難病の「線維筋痛症」を正しく診断できる手法を開発した。血液中に含まれる10種類のたんぱく質の量を調べ、この病気を発症しているかどうか判断する。今後、企業と協力し診断キットなどとして早期の実用化を目指す。成果は米科学誌プロスワンに9日掲載される。
線維筋痛症は全身で痛みが3カ月以上続く。耐えられないほどの激しい痛みを感じる例もある。疲労や不眠など様々な症状が表れるが、原因はよくわかっていない。国内の患者は女性を中心に推定で約200万人いる。
現在は首や肩など基準となる箇所を医師が押し、痛みがあれば線維筋痛症と診断している。ただ、全身の痛みを伴う病気には関節リウマチや脊椎関節炎などもあり、正確に診断するのが難しかったという。客観的に診断できる手法の開発が求められていた。
研究チームは免疫を担う細胞の一種に注目した。患者と健常者の計50人ほどから血液を採取し、免疫細胞を詳しく比較した。細胞表面にある10種類のたんぱく質の量をもとに、健常者や関節リウマチ患者などと区別が可能なことを確認した。