高リスクの米エネルギー関連企業の社債への不安感が、欲望に取って代わられている。米国のエネルギー業界は2014年、原油価格急落でたたきのめされ、企業の債務不履行が続くのではないかという不安を誘発したが、投資収益に飢えた投資家が割安な低格付け社債(ジャンク債)からの収益を上げようと投資を再開している。
米エネルギー企業は厳しい経営環境にある(カリフォルニア州のミッドウエー・サンセット油田)=ロイター
石油価格は1バレル50ドル前後で安定し、国債以外の債券の運用益は微々たるものだという観測から、投資家の期待感がいくらか高まった。
米エネルギー関連企業のジャンク債は、14年12月に10%を超える最高利回りを記録した後、現在は8.8%まで下落している。プライベート・エクイティ企業やヘッジファンドは、エネルギー会社への融資を支え、この変化を利用しようと資金調達に走った。
■石油価格、安定しつつも低水準
それでもなお、一部のアナリストや投資家は、今後数年は大きな圧力を受けることが予想されるこの産業に対する投資を見境なく再開するのは時期尚早だと主張する。石油価格は安定してきてはいるが、(競争力の)弱い企業が健全性を保つことのできる価格水準よりははるかに低いままである。
米国のジャンク債の魅力は全体的に高まっているが、約4450億ドルを運用する米投信大手MFSのチーフ・インベストメント・ストラテジスト、ジェームズ・スワンソン氏は「エネルギー債はまだ高すぎるように思う」と述べる。「エネルギー企業の多くは2年間の弱気な原油相場を乗り切れない」
中には2年も生き延びることのできない企業もあるかもしれない。米テキサス州のクイックシルバー・リソーシズとコロラド州のアメリカン・イーグル・エナジーは今年、債務不履行に陥り、先週になってコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)傘下の石油・ガス生産会社サムソン・リソーシズが米連邦破産法第11条に基づく債務処理を検討していることを明らかにするなど、さらなる警告が発せられた。
2020年が償還期限となっていたサムソンの22億5000万ドルの債券は、14年夏に額面価格から1ドル当たり約20セント下落し、同グループとその投資家が原油価格の急落により不意をつかれたことを浮き彫りにしている。