【ワシントン=共同】環太平洋経済連携協定(TPP)交渉の妥結に不可欠とされる米国の「貿易促進権限(TPA)法案」が来週、上院に提出される見通しとなった。プリツカー米商務長官が9日の電話会見で明らかにした。与野党の議会指導部はTPP交渉を後押しするため法案の早期成立を目指すが、議会内の賛否は割れており審議が順調に進むかは不透明だ。
法案は議会が大統領に通商交渉の権限を委ねる内容。議会は政府が他国と合意した通商協定について承認するかどうかだけを決め、修正を加えることはできなくなる。TPP交渉参加の日本など11カ国は、法案が成立すれば柔軟性を欠く米国の交渉姿勢が変わるのではないかと期待している。
プリツカー長官は会見で、法案提出を「喜ばしい」とし「議会に早期成立を求める」と述べた。会見にはTPP交渉を担当する米通商代表部(USTR)のフロマン代表も同席し、交渉妥結には「まずTPAが必要だ」と強調した。
日米両政府は28日の首脳会談までに、農産物と自動車の関税で溝が残る2国間協議を大筋で決着させたい考え。甘利明経済財政・再生相はTPA法案の審議状況を見ながら、首脳会談前にフロマン代表と直接交渉したいとの意向を示している。
TPA法案について、米議会では労働組合の支援を受ける与党・民主党が議会による通商交渉への関与強化を要望。貿易自由化の推進派が多い野党・共和党は「それでは権限一任の意味がない」と反対している。