2020年の東京五輪と2027年のリニア中央新幹線開通という、2つの追い風を受けて大規模プロジェクトが加速する「TOKYO」。“大改造”を通じて国際都市・東京はどのような変貌を遂げるのか――。日経BP社の専門記者が、開発熱が高まっている「虎ノ門・六本木」「大手町・日本橋」「晴海・豊洲」「有明・辰巳」「銀座・有楽町」「品川」「渋谷」「新宿・外苑」など10エリアで進行している、延べ面積1万m2以上の大規模建設プロジェクトを独自調査してまとめたムック「東京大改造マップ2020 最新版」(2015年4月6日発売)から、東京の近未来の姿を見てみよう。
2014年の虎ノ門ヒルズ開業と環状2号線の一部開通によって活気づく虎ノ門エリア。2020年の東京五輪開催を1つの契機として、国際ビジネス街へと脱皮する。単なるオフィス街ではなく、病院やホテルも含めて「世界標準」を目指す(図1)。
図1 虎ノ門・六本木エリアの大改造マップ
図2 虎ノ門2丁目地区では、老朽化した虎の門病院や国立印刷局などを一体的に再開発する。地上36 階建ての業務棟、19 階建ての病院棟で構成する。2024年度に事業完了予定(資料:都市再生機構)
2014年5月に国家戦略特別区域の指定を受けた東京9区のなかでも、先行してプロジェクトの具体化が進む港区虎ノ門エリア。東京都は同年10月、都市再生特別措置法に基づく虎ノ門周辺地区の整備計画を更新し、東京メトロ日比谷線新駅の設置などを盛り込んだ。オフィス機能はもちろんのこと、高水準のホテルや住居、医療施設、インフラを有する「世界に通用するビジネス街」の全体像が明らかになってきた。
一帯では多くの建物が更新時期を迎えている。虎の門病院を含む約2.9ヘクタールを事業区域とする虎ノ門2丁目地区では再開発で既存病院を建替え、高層の業務棟と病院棟を建設。デッキや歩道の拡幅など、歩行者ネットワークも整備する(図2、地図C-2)。
再開発事業の施行者は都市再生機構と国家公務員共済組合連合会。病院棟は地下3階、地上19階建てで、延べ面積は約8万5500m2。
2018年度の完成を目指す。業務棟は地下3階、地上36階建てで、延べ面積約16万7300m2(平方メートル)。2022年度に完成予定。事業全体は2024年度の完了を予定する。総事業費は約1456億円だ。