帝人の鈴木純社長=東京都千代田区、恵原弘太郎撮影
化学繊維メーカーの帝人が、単なる素材売りから脱し、課題解決を提供するビジネスで成長を目指している。鈴木純社長に狙いを聞いた。
帝人、「素材」+αで次の100年へ 新ビジネスを展開
――素材提供から課題を解決するための「ソリューション」提供への転換を進めています。
「世の中、モノがあふれている。もはや良い物を作れば売れる時代ではない。安価な素材を世界中に提供するビジネスなら、ボリュームを追いかけて世界で1位か2位じゃなきゃいけない。だが、もう我々はそのポジションにはいない。であれば、市場がほしがるものを提供していくことが必然だ」
――素材事業は典型的な「B to B(企業向け取引)」のビジネスでしたが、消費者に近づこうとしていますね。
「私は帝人のなかでも、在宅医療や創薬を手がけるヘルスケア事業出身。そこでは常に患者や医師が何をほしがるか考えているので『B to C(個人顧客向け取引)』の要素もある。例えば薬が飲みやすいように錠剤だけでなく、ゼリーにしたり、点滴をつくったり。それは私が育ったビジネスでは当たり前だった」
――だが素材メーカーとして、消費者から遠い「川上」に特化した戦略を取った時期が長かった。
「そうです。ただ、世の中の技…