医学・医療分野で日本最大規模の学会である日本医学会総会が11日午前、京都市の国立京都国際会館で開幕した。総会の主要イベントである学術講演は「医学と医療の革新を目指して―健康社会を共に生きるきずなの構築―」がテーマ。3日間にわたって開かれ、最終日の13日には提言をまとめる。医療関係者を中心に、約3万人の参加を見込んでいる。
講演する京都大の山中教授(11日、京都市左京区)
開会式では総会の会頭を務める井村裕夫・元京都大学学長があいさつした。「ゲノム(全遺伝情報)解析やがんなどの治療が発展する一方で、急速に進む少子高齢化で我が国の医療をいかに持続可能にするかが問われている」と述べた。
特別講演ではノーベル生理学・医学賞を受賞した京都大学の山中伸弥教授が「iPS細胞の医療応用は使命だ」と強調した。iPS細胞を使いパーキンソン病を治療する臨床研究の計画について「来年にも最初の手術を開始したい」と語った。
医学会総会は4年に1度に開かれ、今回で29回目となる。2011年の前回総会は東日本大震災の影響で講演会などを中止したため、実質8年ぶりの開催だ。13年末から、京都市と神戸市を中心に大阪府や奈良県を含めた関西広域で、関連の講演会や展示会などを開いてきた。
総会では日本医学会の高久史麿会長や日本医師会の横倉義武会長らも講演する。専門家や学生らが集い、医学、医療、きずなの3つのキーワードに関連した研究発表もある。再生医療やリハビリテーション、震災に学ぶ、死生学など20の柱を設定。それぞれの分野の専門家が最新の成果を報告し、今後の課題などを議論する。