奈良県を中心に各地の寺社などで油のような液体がまかれた事件で、いずれも奈良市内の世界遺産・春日大社の南門(国の重要文化財)と唐招提寺の金堂(国宝)でも同様の被害が見つかったことが11日、県警への取材で分かった。同県桜井市の普門院でも被害が確認された。
県警が文化財保護法違反などの疑いで調べる。被害は6府県の27カ所となり、うち奈良県内は18カ所。
県警によると、南門では10日午後4時ごろ、境内を見回っていた職員が扉構えと柱に大きさ5~10センチ前後の被害を見つけた。春日大社では20年に1度の本殿などの修理「式年造替」が3月から本格的に始まり、通常は非公開の国宝本殿が一般公開され、連日多くの観光客が訪れている。
普門院では10日午後、賽銭(さいせん)箱や畳などに点在しているのを住職が発見した。いずれも11日に県警に届けた。
奈良県内では4日以降、東大寺の大仏殿や南大門、桜井市の長谷寺など国宝の建物や仁王像、国重文の仏像などで被害が判明しており、県警は同一犯の可能性もあるとみている。〔共同〕