10道県知事選が投開票された12日の統一地方選の前半戦。三重県知事選は、現職の鈴木英敬氏(40)が新人候補との一騎打ちを制し、再選を決めた。主要国首脳会議(サミット)の国内開催地誘致、人口減少対策、雇用創出など県政が抱える課題は山積している。「身の引き締まる思いだ」。鈴木氏は、2期目のかじ取りに強い決意をにじませた。
「1期目の高揚感よりも、結果の求められる2期目に突入することで身の引き締まる思い」「この緊張感と責任感を忘れることなく、(政策を)実行実現する県政に尽力する」。当選確実が伝わった午後8時過ぎ。津市の選挙事務所前で、鈴木氏は、引き締まった表情のまま、2期目の抱負を語った。
鈴木氏は紺のスーツ姿に赤いネクタイ。妻でシンクロナイズドスイミング元日本代表選手の武田美保さん(38)と長男(2)を伴い、登場した。
鈴木氏が最大の課題としてあげたのが、人口減少対策だった。三重県の人口は歯止めをかける施策を実施しない場合、2060年には07年に比べ約68万人減の約119万人まで減ると予想。鈴木氏は今後、人口減少対策ビジョンや総合戦略をつくるとし、「20年、30年後に鈴木県政があったからこそ、人口減少に歯止めがかかったと言われる4年間を展開する」と強調した。
さらに、三重県が開催地として名乗りを上げている2016年のサミット誘致に言及。「何としてでも県内で開催し、県の総合力、認知度を上げるために、あすから全力で取り組む」と力強く語った。やり残した今後の課題として医療や教育にも触れ、「まだまだ課題がある。しっかり頑張りなさいと県民から宿題を頂いた」と話した。
初当選した2011年の前回選挙では、鈴木氏は民主党が推薦する候補らとの激戦を約1万票の僅差で制した。あれから4年。今回、民主党は自主投票としたが、連合三重や、県議会会派もつくる民主党系政治団体からも推薦を得て、「県民党」を掲げた。選挙は事実上の信任投票となり、全国最年少知事としての4年間の実績を、県民が支持した形となった。
鈴木氏は「全ての県民に感謝する」と勝利宣言。「1期目に取り組めなかった部分も誠実に訴えた。相手方というよりも、私に対するこれまでとこれからを評価して頂けたのでは」と余裕の表情で勝因を分析していた。
鈴木氏の事務所には、約250人の支援者が集まった。壇上で満面の笑みで万歳をくり返した。集まった支援者に「ありがとう」と語りかけながら、深々とお辞儀を繰り返していた。