生徒たちに囲まれるラッパーのR―指定さん(中央)=堺市北区
堺市の府立金岡高校で16日、終業式があり、卒業生でラッパーのR(アール)―指定(してい)さん(25)が登場した。生徒が出した言葉をつなげて同校の魅力を歌った即興のラップを披露。「勉強もスポーツもできないと劣等感ばかり募る。学校に居場所がなければ、別の場所を見つければいい」と語りかけた。
「かまへんかまへん自由だから」「まだまだ俺たち未完成」。R―指定さんが生徒の言葉を即興でビートに乗せて歌うと、生徒約760人から拍手が起きた。
在学中は「バスケット部ではベンチ。成績も悪かった」と振り返る。梅田の歩道橋で数人が言葉をつないで掛け合いをする「サイファー」に参加するなどして実力をつけ、関西の第一人者に。1対1で即興の言葉をぶつけ合うフリースタイルのMCバトルで全国大会3連覇を果たした。「高校生は失敗しても何もしなくてもいい。思い出して笑えればすべてが糧になる」と語りかけた。
フリースタイルのラップをしているという1年の橋本啓吾さん(16)は「一歩踏み出す大切さがわかった。自分も大会に挑戦したい」と話した。
放送作家から民間人校長になった和栗隆史校長(55)が、校内の校長への伝言板に生徒の「R―指定を呼んで」の書き込みを見つけて企画。漫才を授業に採り入れるなど学校の改革に取り組んできたが、3年の任期を終え、今月末で退職する。式で「お互い10年20年後、どこにたどりつくか分からないが自分の道を歩んで想像できないような遠くにたどりつこう」と呼びかけた。(村上潤治)